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朝間プレカット

           

朝間喜久雄

2005
6月作成

 

目次

  

1)プレカットの歴史概略

(2)朝間プレカットの制と近年の事業実績

(3)使用木材(当社における)

(4)プレカットの近年の状況

(5)ISOとプレカット

6)プレカットの将来需要

7)今後予想される木材需要の形態

(8)プレカット業者として求める木材製品とは?

(9)プレカット業者として供給側に求める体制とは?

(10)会社の紹介と今日に至る経過

(11)プレカット工場から見た国産材の流通改革への期待

12)会社概要

 

1)プレカットの歴史概略

 宮川工機の熊沢さんが平成8年に書かれた“プレカットの現況と住宅市場動向”によると、プレカットが我が国の住宅市場に参入したのは、約29年前の昭和51年からとされています。50年代は「機械化の時代」揺籃期でありました。当初の10年間はあまり関心が持たれませんでした。スタートから10年後の昭和60年に至っても、木材住宅におけるプレカット率はわずか3.3%に過ぎなかった。しかし昭和60年以降大躍進期といえる「CAD/CAM時代」に移ります。CADとはcomputer aided design:コンピューターを利用して設計を行うこと。CAMとはcomputer aided monufacturing:コンピューターを利用して製品の生産・加工を行うこと。CADで作成されたデータをもとにNC工作機械を制御すること。である。プレカット率も平成元年7.1%、2年8.6%、3年11.5%、平成7年には29%と急増した。平成17年の今日、国内には約850のプレカット工場があるとされ、推定プレカット率も76%である。業界では、お寺とか、変形した木造住宅とかプレカットできない物件以外は、2年後には、ほとんどがプレカットによると予想しています。

 プレカットがなぜこれほど短期間にシエアーを高めたについては、どの工場の営業マンも同じPRをするのであるが、@高精度である。:コンピューターを使っているので精度は±0.1mmである。A高強度:仕口精度が高いので、構造的に強い。B工期の短縮が可能。(早い)C品質の安定:手きざみでは大工さんの技術レベル差による品質のばらつきが起こるが、プレカットでは安定した品質が可能である。Dコストダウン:安いので直接間接にコストダウンを実現できる。E工事支援:CADのデータにより、単に上棟するという以外の様々な工事支援ができる。などと説明される。ほとんどは事実であるが恥ずかしくなるほどのでたらめも含まれている。このことについてはプレカット業者として求める製品とは(8)の所で述べます。

 プレカット工場のPR効果というよりも、(1)昭和60年代の景気の上昇・住宅着工の増大(2)労働力不足(3)大手住宅会社の拡販戦略などが主な原因でプレカットが急速に広まって行ったものと思われます。

 

(2)朝間プレカットの体制と近年の事業実績

 平成9年8月の構造プレカット操業前は、製材の時にお世話になった大手住宅会社や大型小売店の方々からプレカットの注文もいただけるものと甘く考えておりました。ところが機械は動き出したものの注文の方はさっぱりで、もともと製材の時は近畿のお客様とは縁が薄く大変、困りましてレンゴー調査の木材信用録を頼りに一軒一軒売り込みを図ったのであります。操業前は、大手住宅会社の専属となるのか、木材問屋主体にするのか、小売店をせめようか、工務店直売りの形態を取ろうかなどと生意気なことを考えておりましたが、実際仕事をいただく段になると、そんなことを考えている余裕など全くなく、注文をいただけるお客様からは決しておことわりせずの方法にてスタートいたしました。8年近く経過いたしました今日でも、お客様には、工務店あり、建売業者あり、フランチャイズ店あり、材木屋さんあり、建材店ありの何でもありの状態であります。唯一ないのが大手住宅会社とのお取り引きです。大手住宅会社にはすでに協力プレカット工場ががっちり固まっており、販売戸数が伸び悩む中で新規にプレカット工場の採用は考えられないというのが実体なのでしょう。

 平成9年8月に3棟85坪の加工をさせていただいてから、今日迄の8年弱の加工坪数の推移は、山あり谷ありでありますが、おかげ様にて右肩上がりを続けることができています。目標でありました、月4500坪は平成14年の7月に達成することができました。

 後発で得意先もなく、技術も知識も何もなかった私共が先輩工場と競争してゆくためには、先輩方よりよけいに働く事以外に方法は考えられません。和歌山の木材団地には大型プレカット工場がすでに三つあり、いづれもが複数のラインを持っており、操業も24時間稼働の工場もあります。私共の社員もこういう環境の中にいるものですから、プレカット工場というのは機械を動かして加工していくらという意識が自然に出来上がっており、仕事さえいただければ24時間操業したり、日曜祭日も加工させていただいております。プレカット工場はコンビニと同じだと考えています。いつでも店は開いており、従業員は交代で勤務する。

 

 (3)使用木材(当社における)

 柱 角   通し柱  桧一等120角 20%(四国物主体)

           EW米松 70%  EWホワイト10%

 

       管 柱  EWホワイト 85%

            桧上一等105/120角(四国物主体)15% 全てKD材

            杉上一等105角 0%

 

 土 台        桧上一等 35%

            米栂防腐 60% EWヒバ 5%

 梁・桁        米松グリン材 30% 米松KD材 30%

            EWレッドウッド 40%

 母 屋        米松グリン材 90% 米松KD材 10%

    以上が当社の現状ですが、近畿のマーケットを対象にしているプレカット工場の使用木材はだいたい以上のような比率だと思います。

    ここ8年間で最も大きな変化は、なんといってもEWの柱の急増でしょう。当社が立ち上がった8年前は、柱に関しては桧50%、杉45%、EW5%位だったと思います。EWの急増は平成12年前半からで、ここへ来て勝負がついたという感じで当分の間EW柱が減少に転ずるということは考えられずしっかり日本のマーケットに定着したと言えます。産地は、オーストリア、ロシア、北欧三国、国産とバラエティーにとんでいます。近年中国も日本マーケットへ進出しています。次に米松が独占していた梁桁類でも大変化が起こっています。グリン材からKD材へと順次変わって行くと思われていたが、米松グリン材からEWへと一気に進んでいます。価格的にもEWは米松KD材と同値圏にあり、柱角同様、一気にシエアーを伸ばしていくのもと思われます。産地は、欧州、そしてこの分野にも中国が参加しています。桧がシエアーを保っているのは、土台と通し柱です。近畿の建売業者もEW使いが多くなっておりますが、土台と通し柱は桧という方々が多いようです。住宅の販売戦略のひとつなのでしょう。杉は柱・梁・桁共極端に使われなくなりました。一ヶ月間に一本も使用しないという月もあります

 

 (4)プレカットの近年の状況 

 プレカット工場の実体把握についてのまとまったレポートは、1997年と2001年の日刊木材新聞によるアンケートの調査結果をまとめた“全国プレカット実績調査”があります。私共の工場は1997年の8月に立ち上がりましたが、1997年版には名前がのっていません。当時は工場数800,月間2000坪以上の加工能力を持った工場は123工場でありました。2001年には工場数は900へと増え、2000坪以上の加工能力を持った工場は106に減少しています。そして3000坪以上は76工場であります。3000坪以上というのは後に述べる採算面でみるプレカット工場の将来という点で重要なポイントです。

 我々のマーケットであります近畿地方に注目しますと近畿全体には42工場あり、京都5,滋賀2,奈良3,大阪7,兵庫15,和歌山10となっています。和歌山は、生産坪数では近畿全体の35%を占めており、大型工場が多い。名前をあげれば、千葉にも仙台にも工場を持つ日本有数のプレカット工場である宮本工業の本社工場、平安2ライン6000坪、クズモト宮川3ライン6000坪、山進ナカジマ2ライン6000坪、朝間ナカジマ1ライン4000坪、山長平安2ライン3500坪、関西プレカット2工場宮川3ライン5000坪、かつら平安1ライン3000坪等であります。

 プレカットの加工賃は、坪いくらで決まります。プレカットの加工賃は、7年くらい前から下がり始めました。現在では標準的な建売住宅30坪を加工させてもらって15万円くらいしかいただけません。5億円の投資で月1000坪の加工で加工料500万円いただいてやってゆけるわけがありません。黒字化するためには、3000坪以上が必要です。900工場の中で3000坪以上の能力を持った工場はわずか76工場です。残りの800工場全てが赤字と申し上げているわけではありませんが、安定した業績を上げるためには、大型化は必要条件といえます。日本最大の加工能力を持つ工場は、茨城県のポラテックであり月間能力60000坪であります。すごい数字であることは間違いありませんが、4000坪の工場から申し上げるのもへんですが、雲の上の数字だとは感じていません。つまり現状ではプレカット業界では圧倒的なシエアーを持った巨大企業は誕生していません。しかしながら前述のポラテック、中国木材、江間忠木材と大型化を進めている工場が現われ、業界の再編が一気に進むかもしれません。

 

(5)(ISOとプレカット)

 現在プレカット工場の約100社がISO9000シリーズを認証取得しています。私共の会社も、2001年1月10日付けで認証登録されました。ISOについてはその効力に賛否両論があるにせよ、私共が一年半かけて取得に向けて挑戦した経験から申し上げれば、挑戦してよかったというのが感想です。取引上でのやりとりでISO認証工場同士ですと相手が何を望んでいるのかFAX用紙一枚みればわかるようになっており、無駄な動きは起こり得ません。ISOに挑戦されていない会社との取引には無駄が多く、大企業が系列企業になぜISO取得を義務づけたのがわかります。システム上共通の言語を使えるということです。ISO取得にはお金と時間がかかりますが、会社内部の事柄を体系づけすっきりさせるのに役立つし、工場がみるみるきれいになるのも間違いないし、社員ひとりひとりの意識を目標の実現の向けてまとめ上げることもできるようになります。ISO9000シリーズでは、経営者が方針と目標を作成することが義務づけられていますから、経営者自身、経営に対する責任感が増します。会社組織全体が活性化します。それからISOの直接担当者は何千時間といわれる長い時間苦労してシステムを完成させるわけですから、同じくISOを取得されている取引先の担当者に対しては、同期の桜といいましょうか、特別の感情が生まれますので、取引全体の流れがよくなります。私どもの工場では残念ながらISOの最大の問題点であるマンネリが問題となって、2004年に認証を取り消しましたが、システムのそのもはりっぱに機能しています。

 和歌山木材港団地振興会

 和歌山木材港団地振興会の主たる仕事は団地内の美化です。お互い注意しあい、美化への意識を高めることにより、日本一美しく清潔な木材団地をめざしています。道路に木材を積み上げている工場は一軒もありません。団地内には他業種もたくさん進出されていますが、きれいな状況は維持されています。

 

6)プレカットの将来需要

 在来軸組工法の分野ではプレカットなしに考えられないと言ってもよい位認知されたプレカット業界ですが、将来需要という点では多くの問題を抱えています。受注面では、第一に木造率の問題です。木造率が将来どう推移するのかを言い当てるのはたいへん難しく、土地価格の変動、ライフスタイルの変化、日本人の好みの変化など複雑に絡み合っています。第二に木造住宅の中での在来軸組工法の割合の問題です。政府は、国際標準からみて日本の住宅が高すぎると言う批判を受けて、十数年前から「木造住宅合理化システム認定」や「新世代木造住宅開発事業」を押し進めています。その多くは、金物工法であったり、パネル住宅であったり。在来工法プレカット工場の現状の設備では対応できず、つまり商売にならないわけです。ただプレカット工場が持っているCADの能力というのはすごいもので、バージョンアップすれば(つまりお金を出せば)金物工法やパネル工法にも対応できるわけです。テレビ画面上ではどんな工法でも家は建てられます。機械はそうはいきません。多大な設備費がかかります。プレカット工場が在来、金物別々に特化していくのか、設備を増強して兼用していくのかを予想するのは現状では早すぎると思います。ひとつだけ言えることは、在来軸組工法は、新しく開発された、あるいは開発されるであろうどの工法と比較しても価格競争力のある、つまり安くできる工法であり、日本人が持っている木造好みと合わせて在来工法は今後もずっと続いていくものと思います。つまり比較的安定した受注が望めると思います。

 

7)今後予想される木材需要の形態

 13,4年前、欧州から輸入されたEW柱が今日、日本で75%のシエアーを取ると誰が予想したでしょうか?木材はKD化されないと売れなくなると予測はしていましたが、梁桁の分野までEWが急激にシエアーと増してゆくと誰が予想したでしょうか?つまり木材需要の将来図などは誰もわかりません。ひとつだけ確かなことは、木材はしっかり国際商品となったということでしょう。日本で消費されている商品のほとんどは国際流通の中に位置しています。木材は米加国、東南アジア、ロシアとのお付き合いは長かったものの、欧州を含んだ本当の国際商品化されていなかったのだと思います。需要の変化は国産材に留まらず安泰と思われた米加材も安心していられない現状で、今どんどんシエアーを伸ばしている欧州材にしても今後何事が起こるか予測できません。木造住宅が贅沢を言わなければ、鉄骨、鉄筋コンクリート、プレハブ、2×4より安くできることが一般に認知された今、木材の需要が今後一気に減少に向かうことは考えられず、問題は扱っている木材が国際流通の中のどの位置におり、競争力を高めるにはどうしたらいいのか、常に念頭に置く必要があるのだと思います。

   最近、日本の木材住宅供給会社でNo.1の某社が、土台と通し柱に桧の集成材を全面的に採用しました。集成材の良さと販売戦略上で有利な桧使用を合体させたものと思われますが、急速に、新商品として世に出てくるでしょう。材料が桧だけに集成材の先進地欧州は戦線に参加できないでしょうが、国内メーカーだけでなく、中国も参加するかもしれません

 

(8)プレカット業者として求める木材製品とは

    最初の方で申し上げました通り、営業マンのPRするプレカットの利点には大うそが含まれています。その最たるものは、精度がいい。ということです。精度がいいのは一定の条件の下で、なのです。一定の条件とは使用する材料がまっすぐでサイズも表示通りであることです。現実には真っすぐな木は少ないわけですから、機械加工の際、クランプで押さえつけて真っすぐの状態にして加工を行います。加工を終了してクランプをはずすと木は元へ戻り、たいへん加工精度の悪いプレカット製品が出来上がります。私は大工さんの前でプレカットのPRをさせていただく時、必ず申し上げることがあります。プレカットは木の性質のことを考えませんから、大工さんが手刻みするよりはるかに悪い製品ができますが、それでもよかったら利用して下さいと。

   又、プレカットにはクレームがつきものです。色々なクレームがありますがその多くは使用した材料が悪いことによるクレームです。大工さんにしかられながら、もっといい木を使える予算出せよと言いたいのを我慢しているプレカット工場の担当者ばかりなのです。ですから、プレカット業者として求める木材製品とはクレームの出ない製品、つまり真っすぐな製品のことであります。これを実現させたのが集成材です。集成材が多く使われるようになったのは、プレカット率の急上昇によるところが大きいように思われます。私も製材出身ですから、たとえばサイズにしても大きければ問題ないと思っていましたが、大きくても小さくてもだめで105なら105ピッタリのものが要求されます。もし天然の木だからそんなものはないと突っぱねたとしたら、間違いなくその商品は市場に受け入れられなくなり、一方集成材のシエアーを高めることになるでしょう。プレカット業者が求めている木材製品とは色つやがよく、年輪のこんだ大きめに挽いた材木ではなく、目は荒くても、曲がった木は一本も混ざっていない表示通りのサイズに仕上げた材木です。



(9)プレカット業者として供給側に求める体制とは?

  プレカット工場が扱う材料の種類、サイズは数多く、多くの工場は在庫管理をISOのシステムを使って、きっちりやっていますが、それでも置き場所が足らないと言うのが現状です。ですから供給側に求める体制の一番目はトヨタの看板方式は無理としてもいつでも供給してくれるということです。もし今ないと平気でおっしゃる供給者には、次の発注はしません。もっと安定した供給体制にある供給者をさがします。二番目には、先程から申し上げていますように、真っすぐで表示通りの材木を供給してくれることであります。特に梱包でいただく場合、悪い材木を平気でくるんでくるようなメーカーは間違いなく排除されます。役物を入れてあると言い訳される供給者もまだおられますが、それは十年以上も前の木材取引のことで、今のプレカット工場では悪い物をはねるのが精一杯で良いものを大事においておく余裕は時間的にありません。三番目は価格です。プレカット工場の購買担当者は素人が多く、又他の仕事を兼ねているので、相場の研究をしている余裕などなく、材木価格が上がったり下がったりというのが困るわけです。特に仕入れするたびに値段の交渉をしなければならないような供給者との商売は疲れてしまい、多分もっと安定した、安心のできる供給者をさがすでしょう。第四番は、いくら交渉してもプレカット工場の購買担当者は必要な物だけしか買いませんから、トラックの積み荷の関係であと一山注文欲しいとかいう業者もいやがります。第五番目、一番目と結がることですが、注文したら即納してくれる供給者を捜しています。プレカット工場の多くは、土曜日曜も関係なく、夜の間も機械を廻していますから、金曜日に注文した材料が火曜日にしか到着しないようでは困るのです。又、土曜日に電話かけても全く出ない供給者も敬遠します。今は電話の転送など簡単にできることなのですから、日曜日はしょうがないにしても、うちは第一、第三土曜日は会社は全面的に休みですと胸をはっておっしゃるような所とはできればお取り引きしたくないというのがプレカット工場の購買担当者の正直な気持ちです。私共の会社もお取り引きをいただいておりますが、四国の某産地問屋は注文させていただいた商品は絶対ないとはおっしゃいません。きっと自社には在庫していなくてもネットワークを使って探し出す自信がおありだから断らないのだと思います。納期も守ってくれます。価格も大変動が予想される時のみFAXで状況を知らせてくれます。たいへんありがたいお取引先であり、大事にしていきたいと思います。製材業者との直接のお取り引きは価格的には魅力がありますが、プレカット業者が置かれている現状からみて、結局は大型の産地問屋との取引が拡大していくのではないでしょうか。

 

 (10)会社の紹介と今日に至る経過

  簡単に私共の会社紹介をさせていただきます。創業者の父は、和歌山県日高郡川上村、合併前の美山村の出身で昭和15年頃和歌山市で木材の商売を始めたと聞いております。株式会社朝間商会を設立したのは昭和28年4月で、おかげさまで一昨年設立50周を迎えることができました。昭和40年頃までは内地材の製材でその後外材、特に米栂の製材主体で、昭和53/54年の最盛期には月産10,000石以上を製材し、カスケードの柱角を全国のお客様に買ってもらっていました。ところがご承知の通り平成5年頃から急速にヘム離れが起こり、外材製材の経営に自信を失くし始めた時、多くの方々から助言をいただき、平成9年8月に以前原木置き場であった西浜木材団地にプレカット工場を建設いたしました。そして同年12月に築港の製材工場は閉鎖いたしました。平成12年10月には羽柄プレカットの操業も開始いたしました。

   プレカット工場は、当初13名で出発いたしましたが、現在は36名となっています。内訳は、CAD要員11名、営業及び事務5名、木拾い2名、工場16名、大工2名であります。プレカット工場に必要な土地面積は、以前から月産一坪当たり、一坪の面積が必要といわれておりました。3000坪の加工には3000坪の土地が必要です。当社は現在4000坪強の月産でありますが西浜プレカット工場が1200坪、築港の倉庫が1600坪の計2800坪で運営していますがいっぱいいっぱいという所でしょうか。しかしながらできあがった製品在庫棟数は2000坪の生産量の時とそう変わりませんから、一坪/一坪という理論は必ずしも正しいとは言えないかもしれません。

 プレカット工場の立ち上げ資金は、土地を別にして約5億円。機械及びCADの代金が3億円、工場・倉庫に1億5千万円、備品車輌、立ち上げ運転資金等に5千万円が必要でありました。機械の方は7年のリースを組んでおり、月々400万円強のリース料を支払っておりましたが、お蔭様で昨年8月にリース支払いを完了いたしました。建物・備品・車輌の償却とリース料の合計は月々約500万円でしたが、現在は100万円強で済んでいます。

 

(11)プレカット工場から見た国産材の流通改革への期待

 (1)大型産地問屋の育成又は設立

 現状和歌山県下には大型産地問屋はありません。私は冗談半分によく言います。

 「県産材を使えとおしゃるが、どこに売っているのですか?どこに電話すればいいのですか?」和歌山市にある4工場の国産材消費のほとんどが四国・九州物です。紀州材は限りなく0に近いと思われます。その理由として、四国物に較べて高いという固定観念がよく上げられますが、それよりも近くにどこにも売っていないからというのが正解でしょう。仮に4工場が位置している西浜木材団地の隣の埋立地に大型問屋ができたら間違いなく利用されます。これも冗談半分なのですが、私共が取引いただいている四国の大型産地問屋さんに「和歌山に支店を出しませんか?」とよく言います。大型産地問屋が成功するためには、中小大の県下の製材工場の結束が不可欠です。前述した通り、欠品なし、即納可を実現するためには製材工場間のネットワークつくりが基本となります。次に誰が経営するのかが問題となります。私見ながら県森連が中心となるのが現実的だと思います。

 (2)県境をはずして国産材を扱う積極的な姿勢

   地方公共団体としての性格上、仕方がないことなのかも知れませんが林業対策を例にあげれば、どうしても自分の県だけの施策に留まる場合が多いと感じられます。そうではなく、国全体の問題としての施策が必要だし、もしかしたら地球全体の問題として方向付けをしなければないのかもしれない。そう言った意味からも、量も多く、価格も安い、九州・四国材を恐れるのではなく、一緒に並べて販売するほうが売り手も、買い手もメリットが大きい。もちろん他県の産地問屋にも紀州材を売ってもらう。

   以上2点はプレカット工場からの期待ですが、木材の流通特に建築用構造材の75%以上がプレカット工場を経由している現実を見据えれば、プレカット工場が便利なような流通形態を早く確立すべきだと思います。

 

 12)会社概要

株式会社朝間商会 会社概要

昭和28年 4月  株式会社朝間商会設立 代表取締役 朝間義男
     内地材の製材として出発する
昭和38年頃  外材製材に転換する 
昭和46年10月 JAS認定工場に指定される(LU−45012)
昭和60年 1月 朝間喜久雄代表取締役に就任
平成 9年 8月 西浜工場建設。プレカット事業部設立。操業開始
平成 9年10月 平成9年度和歌山県中小企業新分野進出支援事業費補助金
  (国庫事業分) 交付決定される【商振 第394号】
平成 9年12月 本社製材工場操業停止。 
平成12年 1月 中小企業経営革新支援法承認企業となる。
平成12年10月 羽柄プレカット部門操業開始
平成15年  5月 兵庫CADセンター開設

 

  

         

  

     

   

   

    

   

     

   

 

 
 
     
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