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       【2】 木造住宅暗黒時代

 

 この戦後25年(1950年)から昨年平成22年(2010年)までの60年間を「木造住宅暗黒時代」と呼びます。
 国の方針や地方公共団体の方針により、役所の建物はもとより、学校なども次々三階建ての鉄筋コンクリートのものに建てかえられ、机や椅子・下駄箱なども不燃性ものに変わっていったことはご承知の通りであります。昔懐かしい木造の「我が学び舎」は消えてしまいました。木材の利用推進を叫んでいる、森林組合や木材組合の事務所が鉄筋コンクリート造りであるという落語の話みたいな状況になってしまいました。

 

 話は少しそれますが、建築学会と木材業界とはなぜか仲が悪く、しっくり行っていません。法律や役所が木造に対し冷たい態度であったのと同時に、建築学会も木材の味方ではありませんでした。
 昭和34年(1959年)の伊勢湾台風後、日本建築学会は「木造住宅禁止決議」を採択しました。この決議は、昨年(2010年)分かりにくい釈明文が発表されるまで、実に50年間も有効な決議でありました。
 本年3月11日の大震災後の4月6日に日本建築学会会長が、「津波被害が大きかった地域では、非木造の建築物がほぼ原形と留めているのに対し、木造建築物はほぼすべてが流失した。」と発表しました。この発言には、またかということで、木材業界の若手が噛み付き、「どのような調査をして、どのような事実があったのか、その事実をどのように分析したのか。」という公開質問状を学会あてに送付しました。5月27日に回答が送られてきましたが、歯切れが悪い内容で分かりにくいものでした。木材業界は業界紙に特集を組んで、建築学会に反撃をくわえている状況です。

 

「公共建築物木材利用促進法」が奇跡の法律だといわれているのは、60年に及ぶ「木造住宅暗黒時代」がこの法律の誕生で終わったからです。60年間、国は「木材を使うな!」と言い続けて来たのに、今度は逆に「木材を使わなければならない。木を使え!」と法律が、政策が180度転換したからであります。このような法律は、めったになく、まさに「奇跡の法律」なのです。業界では、本年2011年を「木材の夜明けの年」と呼んでいます。

 木造化の和歌山県での具体例は、昨年和歌山大学観光学部の校舎が木造で完成しました。2015年に開催される和歌山国体の競技会場の多くが、木材を(とりわけ紀州材)をたくさん使う設計になっていて、いま急ピッチで工事が進められています。法律による本格的な木造化の始動は来年からで、医療機関や老人ホーム、コンビニなども木造化が一気に進むものと思われます。

 

 

 

 

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