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       【3】 「森林・林業再生プラン」について

 

 奇跡の法律「公共建築物木材利用促進法」成立までには、様々な経過がありました。

 『1』そのひとつが「森林・林業再生プラン」であります。
 本プランは民主党政権誕生と密接な関りがあります。自民党政権下、野党民主党はマニフェストに大胆な森林・林業政策を発表していました。これがいまの森林・林業再生プランの原形になっています。野党民主党代表代行の菅直人は、富士通総研の梶山恵司(ひさし)にほれこみ、一緒にドイツに行くなどして、林業の先進地といわれるヨーロッパの林業政策を梶山に研究させ、梶山は「日本林業はよみがえる」という論文を発表しました。
 平成21年(2009年)9月に民主党鳩山政権が誕生しました。前年のリーマンショックでふらふらになっていた経済を立ち直らせるために、緊急雇用対策が発表され、同時に年内に「森林・林業再生プラン」を作成するよう指示し、これを受けて農林水産省は、12月25日に「森林・林業再生プラン〜コンクリート社会から木の社会へ〜」を発表しました。わずか3ケ月で大胆な改革案ができたのは、岡田秀二岩手大学農学部教授といういわば地方の学者を座長にすえ、外部有識者を委員とし、当時は政権交代で戸惑っていた農林水産省に皆川林野庁長官という大物役人がいたことであります。政権党の政策・民間の期待・学者の夢・長年あたためてきた役所の政策がうまく融合したからであります。

 そしてこの「森林・林業再生プラン」は、2010年6月、菅直人政権誕生直後に閣議決定した「新成長戦略」の「21の国家戦略プロジェクト」のひとつに位置づけされました。菅直人は政権末期、世間からたたかれ、党内からも批判されましたが、野党時代からヨーロッパの林業政策に興味を持ち十分勉強し、役人をうまく使い、「森林・林業再生プラン」にちからを与え、世に出しました。このプランの実行に日本の森林の将来がかかっているのです。

 それでは、この「森林・林業再生プラン」はどういうものかというと、3つの理念から成り立っています。@森林の多面的機能を発揮しよう。A地域の雇用を創造しよう。B低炭素社会の実現に貢献しよう。そして、10年後に木材自給率50%を目指そうという内容です。

 

『2』木材自給率とは、日本で1年間に使う木材のうち、国産材がどれほど使われているか、その.比率のことです。国産材は内地材ともいい、それに対する言葉は、外材とか輸入材とかいいます。昨年平成22年(2010年)の日本での木材の需要量は、7,025万M3で、自給率は26%に過ぎません。日本がどの国から木材を買っているかというと、@オーストラリア Aカナダ Bアメリカ C欧州諸国 Dマレーシア Eニュージーランド Fチリ Gロシア まさに世界中から木材をかき集めている状況です。日本の山には木がいっぱいあるのに、です。
 ちなみに、55年前の昭和30年(1955年)の自給率は94.5%でした。ほぼ自給自足していたのです。ところが平成12年(2001年)には、20%すれすれという状態に落ち込みました。
 木材の自給率がなぜこれほどまでに下がったのか、つまりなぜ杉・桧を使わなくなったのかについては、諸説があり、私も意見を持っていますが、業界内での責任の擦り付け合いになりますので述べるのを控えさせていただきます。

 森林・林業再生プランは、これほどまでに落ち込んだ木材自給率を10年後に50%にしようというプランなのであります。

 

 

 

 

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