大阪で、商社勤めを5年やった後、昭和49年に和歌山に帰ってきて父がやっていた木材業を継いだのですが、その年の秋、生まれて初めてアメリカに行きました。過去イチローが活躍していたシアトルです。まずなににつけ、日本より大きいことに圧倒されました。なかでもびっくりしたのは、ホテルにおいてあるメモ用紙が、日本では卒業証書にしか使われないほど厚く、アメリカ人はそれを惜しげもなくメモとして使っているのでした。
日本国民が、1年間に消費する紙の量は、2009年の統計では、215KGSで世界6位です。私が40年近く前びっくりしたアメリカは231KGSで、世界3位です。日本は紙の消費量でもアメリカに追いついているのです。そして世界の平均は、54KGSで、中国は、平均値に近い64KGSです。即ち中国はひとりあたり日本の30%しか紙を消費していないのです。
紙は、文化のバロメーターといいます。中国やインドはものすごい勢いで経済発展しています。貧乏であった日本が高度成長期に国民すべてが働いて働いてアメリカに追いついたように、中国やインドも近い将来日本やアメリカに追いつくことでしょう。経済の全体規模では日本はすでに追い抜かれています。中国の人口は13億、インドは12億です。中国が日本の30%なのはひとりあたりの数字なのです。すでに紙の生産量では中国はダントツで世界一なのです。中国人のひとりひとりが今の日本人なみに使い出したらとんでもない状況になります。紙の原料は申し上げるわけもなく、木です。中国やインドが本格的に世界の木材を集めだしたら、国の勢いの差で日本は世界のどこからも買えなくなると思います。
日本は、どうしてもたった55年前そうであったように自給自足せざるを得ないのです。
幸い、日本には、先人が植えてくれた膨大な森林を持っています。
世界の国々は、自国に木がなくて困っているのに、日本は有り余るほど木があるのに、それを使おうとせず、外国から木を買っているという不思議な国なのです。変な国だと世界は言っています。菅直人のちからで(菅直人は私と同じ年生まれで、一番好きな政治家です。)法律の整備も出来ました。国民すべてが現状認識をして、木材業界人が、真面目に、地道にやっていけば、自給率は急速に改善し、50%はおろか100%になる日も来ると信じています。そして森林のサイクルが完成したならば、地球環境改善にも貢献できるのです。私は自分の職業に、誇りを持って、毎日頑張っていこうと思っております。